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日々の栞

本、映画、ファッションについて気ままに更新

館の傾きが生んだもの/『斜め屋敷の犯罪』 島田荘司

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館「斜め屋敷」で起こる連続殺人。クリスマスにこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見される。人々が恐怖に飲み込まれる中、さらに続く惨劇。探偵・御手洗潔はこの事件をどのように解決するのか。

玉木宏主演で映画化されることになった、島田荘司の御手洗シリーズ。このシリーズのなかでも、『斜め屋敷の犯罪』はトリックの衝撃がずば抜けている一冊。

傾いているという不思議な館で起こる連続密室殺人事件。色んな不可能犯罪が組み込まれ、読者への挑戦状がある、まさに本格ミステリーと呼べる小説。メインのトリックは、誰がこんなの分かるんだと思うような奇想天外のアクロバット技。うん、これは分からないわ。屋敷とトリックの融合。解けたひとはいるのだろうか。

作中でトリックの解明の際に「ただそれだけのために、この家は傾けてあるのさ。」というセリフがあるが、この屋敷の傾きから生まれたのは殺人トリックだけではない。綾辻行人はこの屋敷に触発されての「館シリーズ」が生まれたと語っている。(改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 解説より)この屋敷の傾きから新本格ミステリーが発展したと思うとこの屋敷の傾きは色んな意味を帯びてくる。

「ただそれだけのために、この家は傾けてあるのさ。」改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 p422
 

 

改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)