日々の栞

本、映画、ファッションについて気ままに更新

死に憑りつかれた者たち / 『MISSING』 本多 孝好

死の香りが漂う短編集 この『MISSING』を読んでいると、真夜中の学校のプールが思い浮かぶ。どこか寂しげな透明感があり、死の香りが漂っている雰囲気。収録されている5編全部が死と関係している。死に憑りつかれたもの、死に向き合い自分が生きた証を残そう…

人はみな孤独な旅人 / 『スプートニクの恋人』 村上 春樹

恋愛の痛みと不条理さを描いた『スプートニクの恋人』 22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒 し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎ…

村上春樹のセルフオマージュ / 『騎士団長殺し』 村上 春樹

村上春樹の総集編とも言える『騎士団長殺し』 謎めいたタイトルと内容が明かされないことで同発売前から大きな注目を集め、発売当日には長蛇の列ができるなど、注目を集めている村上春樹の最新長編小説 『騎士団長殺し』。どこの書店に行っても『騎士団長殺…

『ノルウェイの森』が好きな人におススメの小説

『ノルウェイの森』みたいな小説が読みたい! ノルウェイの森 上 (講談社文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2004/09/15 メディア: ペーパーバック 購入: 31人 クリック: 899回 この商品を含むブログ (770件) を見る 『ノルウェイの森』…

イメージの迷宮 / 『快楽の館』 アラン・ロブ=グリエ

イメージの反復 『快楽の館』はヌーヴォー・ロマンを代表する作家:アラン・ロブ=グリエの小説だ。この『快楽の館』はタイトルからするとただの官能小説のように見えるが、人を選ぶ前衛小説となっている。青い館で行われる夜会と舞台、老人の不可解な死、女…

官能的な変身譚 / 『フラミンゴの村』 澤西祐典

ある日村の女たちがフラミンゴに ある日妻がフラミンゴになっていたという変身譚。有名な変身譚と比較してみると中島敦の「山月記」とは違って、村中の女達が何故フラミンゴになってしまったかという理由には触れられていない。カフカの「変身」のように、変…

2017年はウディ・アレン監督の映画が2回も映画館で観れる

ついつい観たくなってしまうのがウディ・アレン監督の映画だ。シニカルだけどユーモアに溢れているおしゃれな映画。脱力してゆったりと観れる映画の一つだ。タイトルの通り今年はウディ・アレン監督の映画が2回も映画館で観れる!『カフェ・ソサエティ』と『…

コミカルなウディ・アレン流サスペンス / 『タロットカード殺人事件』 ウディ・アレン

ユーモアの効いたウディ・アレン流サスペンス タロットカード殺人事件 [DVD] 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 発売日: 2011/01/19 メディア: DVD クリック: 5回 この商品を含むブログ (7件) を見る 『マッチポイント』を観た後に鑑…

ビター&スイートな大人のおとぎ話 / 『カフェ・ソサエティ』 ウディ・アレン

ウディ・アレン監督の新たな21世紀ベスト作品! お洒落なBGMが流れ、真っ暗なスクリーンにタイトルが浮かび上がるオープニング。このウディ・アレン印のオープニングを観ると、今年もウディ・アレンの映画を観れると顔がにやついてくる。ここのところウディ…

過ぎ去ってゆく青春 / 『風の歌を聴け』 村上春樹

村上春樹の原点 「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」 この印象的な書き出しで始まるのが『風の歌を聴け』。群像新人文学賞を受賞した村上春樹のデビュー作だ。この小説は日本文学にとってエポックメイキングとな…

過ぎ去った時間の痕跡 / 『知らない町』 大内伸悟

かつて誰かがいた場所に、私は存在している youtu.be 三月の終わりごろになると、ばたばたと引っ越しシーズンになる。僕の住んでるアパートでも知り合いが新天地に引っ越したり、見知らぬ隣人が気が付くと引っ越していて、しばらくすると新しい住人がやって…

パリは移動祝祭日 / 『移動祝祭日』 ヘミングウェイ

パリは移動祝祭日 もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らすことができたなら、その後の人生をどこですごそうとも、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ 誰にとっても青春時代はかけがえのないもので、そこでの経験が自分を支える大きなピースになる。…

村上春樹『騎士団長殺し』と又吉直樹『劇場』で新潮社の勢いが止まらない

調子いいんじゃない!?新潮社 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/02/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (31件) を見る 騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編 作者: 村上春樹 出版社/メーカ…

同じ歩調で年老いていくことの幸せさ / 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 F・スコット・フィッツジェラルド

時間を逆行して生きるベンジャミン・バトンの数奇な人生 老人として生まれて、どんどん若返っていき、最後には赤ちゃんとなって死んでいく・・・年を取るたびに若返るなんていいじゃない!って思う人もいるだろう。しかし事態はそう簡単じゃない。人と同じ歩…

哲学的ゾンビ / 『ゾンビ』 村上春樹

最近どこの本屋に行っても村上春樹の『騎士団長殺し』が平積みされている。本が売れないと言われる中、ここまで売れる村上春樹は本当にすごいなと思う。小説の発売に並ぶというのはほとんどない気がする。村上春樹以外だとハリー・ポッターぐらいかな。純文…

時の洗礼を受けていないものを読むな/『読書について』

核心をついている読書論 読書とは他人に考えてもらうことで、読書をしすぎると自分で考えなくなっていく。一見するとそんなことはないだろうと思えるが、実は読書の核心を突いている。この『読書について』は多読を推奨するのではなく、思考停止になっている…

雨男・雨女についてのあれこれ

僕は雨男です。雨宿りしたら雨が止むのですが、外にでるとまた雨が降ってくる。家から出たタイミングで雨が降り出すのはしょっちゅうあります。イベント事の幹事をすると天気が悪くなり、挙げ句の果てに家から出すなと言われる始末。駅について外にでると雪…

苦すぎる初恋の思い出/『はつ恋』 ツルゲーネフ

誰もが経験した初恋を描いた小説。しかし、かなり心にくる。恋の高揚感が伝わってきて甘酸っぱい気持ちを味わえたけど、後半になると心をえぐる展開に。この恋の痛みはなかなか癒えないだろうな。初恋を描いた古典的名作であった。 はつ恋 (新潮文庫) 作者: …

今年を少し振り返ってみる

もう暦の上ではディセンバーです。気持ちの上ではノーベンバーなのですが。今年も早いものです...今年の3月にブログを始めてみましたが、結局三日坊主に終わってしまいました(て言うか3日も続いていない!)。一年間の記事数、驚くことなかれ、なんと10!こん…

村上春樹の個人的おすすめランキング(長編小説)

2017年の2月に村上春樹が新刊長編小説を出すようです。また世間が村上春樹フィーバーになりそうですね。僕は村上春樹が好きで、殆どの作品を読んできました。そこで村上春樹の長編小説ランキングをつけてみようと思います。かなり好みが偏っていますが... 第…

深い関係性を求めて/『カンガルー日和』 村上春樹

初めて読んだ村上春樹の小説は、高校の教科書に載っていた「カンガルー日和」だ。カンガルーの赤ちゃんを見に行くという、男女の何気ない1日を描いた小説だ。高校生の僕にとって、この小説はよくわからないふわふわした小説として映った。しかし、何度も読ん…

初めて読む人におすすめの村上春樹作品

今や日本を代表する作家・村上春樹。僕は高校生の頃に村上春樹にはまり、大学生になって長編小説を全て読み切っていました。洒脱な比喩と、心の湿っぽい部分に響くストーリーに心を掴まれ、村上春樹しか読んでない時期もありました。僕は村上春樹の文体がと…

現代人の繋がりの薄さ/「闖入者」 安部公房

僕の1番好きな作家、安部公房の短編小説「闖入者」について書こうと思う。「闖入者」は『水中都市・デンドロカカリヤ』に収録されている短編だ。ちなみにこの「闖入者」が元になって安部公房の代表的な戯曲『友達』(谷崎潤一郎賞受賞作)が生まれている。 あ…

友情と恋愛どちらを取る?/ 『友情』 武者小路実篤

最初この本を取ったとき、タイトルの『友情』から爽やかな青春小説を連想していたが、まったく違った。青春小説は青春小説だけど、友情と恋愛の間での葛藤を描いた少しドロドロした小説。いわゆる三角関係を描いた小説で、夏目漱石の『こころ』や『それから…

館の傾きが生んだもの/『斜め屋敷の犯罪』 島田荘司

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館「斜め屋敷」で起こる連続殺人。クリスマスにこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見される。人々が恐怖に飲み込まれる中、さらに続く惨劇。探偵・御手洗潔はこの事件をどのよ…

伊坂幸太郎と映画

ミステリーや純文学、さまざまジャンルを越境して最高に面白い小説を書く作家、伊坂幸太郎。今日本でもっとも読まれている作家の一人ではないだろうか。 伊坂幸太郎は映画からの影響が大きいような気がする。伊坂幸太郎自身も映画好きを公言しているし、作品…

スパゲティーに込められた孤独 「スパゲティーの年に 」 村上春樹

カンガルー日和 (講談社文庫) 作者: 村上春樹,佐々木マキ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1986/10/15 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 120回 この商品を含むブログ (158件) を見る 「スパゲティーの年に」は『カンガルー日和』に収録されている村上春…

ブログを始めてみた

前から始めてみたかったブログをやっと始めてみた。道のりが長かった...主に本や映画、ファッション、アートについて気ままに書いていきたいなと思っています。