日々の栞

本や映画について気ままに書く。理系の元書店員。村上春樹や純文学の考察や感想を書いていく

象徴としてのあしか / 「あしか祭り」 村上 春樹

メタファーとしてのあしか

 

そういえばあしかを見た記憶がない。子供の時に見た気がするが、あれはあざらしだっかかもしれない。この「あしか祭り」にとってあしかという存在は重要なものではなく、ある種の象徴性を備えたメタファー的な存在としてあらわされている。といった感じでこの「あしか祭り」は、よくパロディの題材として扱われる村上春樹文体のまわりくどさが前面に押し出された短編。

あしかルネッサンスとか意味が分からないし、「あしか性を確認する作業」に至っては意味が分からないを通り越して、何か神聖な意味合いがあるのではないかと思えてくる。やれやれ。この短編の「あしか」という言葉は、他の言葉に置き換えても問題がない気がする。カンガルーでもいいし、たまねぎでもいいような気がする。そう言う意味ではあしかは象徴的なものとして機能しているのかもしれない。とにかく色々とシュールなので、少し笑ってしまった。

 

形而上学的な意味合いを持ち、メタファーとして機能するあしか。書いてる僕自身もさっぱり意味が分からない。

 

栞の一行

祭りというものはあくまで祭りにすぎません。 華やかではありますが、それはいわば連続した行為のひとつの帰結でしかないのです。真の意味は、つまり我々のアイデンティティーとしてのあしか性を確認する作業はこの行為の連続性の中にこそあるのです。祭りとはあくまでその追認行為にすぎないわけです

 

 

関連記事(『カンガルー日和』に収録されている他の短編について)

plutocharon.hatenablog.com

 

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本当に怖いものは... / 「鏡」 村上 春樹

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鏡は「この世ではないもの」を映すと言われていて、心霊話の題材としてよく使われる。僕も子どもの時に、合わせ鏡をすると「何か良くないもの」が紛れ込むから辞めなさいと言われた記憶がある。ここでいう「何か良くないもの」というのは心霊的でオカルト的なものであるのだが、村上春樹の「」で描かれているのはそういった意味ではなく別の意味での「何か良くないもの」だ。

村上春樹の「鏡」という小説は、『カンガルー日和』という短編集に収録されている10ページほどの短い短編だ。最近では国語の教科書に採用されているらしく、熱心な村上春樹読者でもない人でも読んだことがある人は多いと思う。僕が高校生だった時には国語の教科書に表題作の「カンガルー日和」が採用されていた。授業としては楽しかったが、先生的には村上春樹の文章で問題を作るのは難しいそうだ。

鏡の話に戻ろう。「鏡」という短編は、来客が怖い話を語り合う会で、主催者が最後に自分の話を語るという体裁になっている。

このスタイルは村上春樹の別の短編『七番目の男』にも受け継がれている。この『七番目の男』という話もなかなかに怖い話なので、気になる人は是非読んでみて欲しい。国語の授業で勉強している人にも参考になるように「鏡」の自分なりの解釈を書いていこうと思う。

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ZARAの靴がバレンシアガ・リック・オウエンスぽい件について

ZARAの靴に既視感が...

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お金がない貧乏大学院生なので、ZARAのオンラインショッピングでも見て、安くていいアイテムがないかなと思って探していた。すると、見覚えのある靴に出会った。あれ、この靴どこかで見たことがある...

あれ...

何だっけ...

バレンシアガのスピードトレーナーや!!!!!

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完全に一致。これはZARAさんまずいのではないのでしょうかと思うぐらいに完全に一致。ソックスにしているあたりこれは確信犯だと思う。パリコレなどのトレンド最先端のデザインはどんどん広がっていくけれど、これはパクリと言われてもしかたないようなデザイン。まあ、でも9000円台とお値段がお手頃で、バレンシアガが買えない僕のような貧乏大学院生にはピッタリかもしれない。バレンシアガのスピードトレーナー凄く欲しいけれど値段が非常に高いからな...7万円ぐらいするし...社会人になったら買いたいな...

 

と色んな事を考えながら見ていたら、もう一つあることに気づいた。

リック・オウエンスの靴のデザインにそっくりや!

 

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これまた完全に一致である。これはハイブランドに詳しくない人にとっては気付きにくいだろう。バレンシアガとリック・オウエンスの靴を足して2で割って0.001かけた的な。デザインは似ていても、品質はファストファッションと杯ブランドで雲泥の差があるからね。

 

優れたデザインが真似されるのも仕方ないのかもしれない。そもそもファッションは優れたデザイナーの服がどんどんスタンダードになってきた歴史があるし、デザインを真似ることは悪いことではないと思う。けれど敬意がない真似というか、露骨な真似はパクリといわれて断罪されても仕方ないんじゃないかな。

 

色々好き勝手言ったけれど、バレンシアガを買うことが出来ない貧乏大学院生なのでZARAの靴を買ってしまいそうだな。

 

かつて誰かがいた場所に自分はいる / 『その街の今は』 柴崎 友香

かつて誰かがいた場所に、私はいる

 

アパートで独り暮らしをしているとふと思うことがある。いま僕が住んでいる部屋にはどんなひとがすんでいたのだろう?当たり前のことだけど、僕たちはかつて誰かが生きた場所に生きている。このような過ぎ去った時間の積み重なりを描く小説家と言えば柴崎友香だ。柴崎友香は『春の庭』で芥川賞を受賞している作家で、場所に積み重なった時間をテーマにした小説を書いている。芥川賞を取った『春の庭』、三島由紀夫賞候補の『わたしがいなかった街で』など。今回紹介したいのは『その街の今は』という小説だ。この小説では、たくさんの人々が住んでいた昔の大阪の街に思いが馳せられる。主人公が大阪の街であるような小説だ。心斎橋など実際の地名が出てきて、大阪に住んでいると楽しみが増す。今僕がいる街は、過去誰かがいた街であって、いろんな過去が積み重なった上に今の僕、街があるんだろうなと思う。小説の中の雰囲気はとてもゆったりとしていて、いつまでもそのなかにいたくなる。過去の街には知らない人がいて、そこに僕がいないことは当たり前だけど、よくよく考えたら不思議なことだ。

 

自分がいまいる場所も、かつて誰かがいた場所だった。そんな人生の不思議に思いを馳せたくなる小説だった。

 

 

新しい国民の休日を作るなら何にしよう?

新しい祝日を作るなら何にしよう?

news.livedoor.com

12月23日が休みでなくなるみたいだ。12月と言えばクリスマスよりも天皇誕生日の方がメインみたいなところがあるから(そんなことはない)、非常に残念だ。ああ、休みが欲しい。まだ学生だけどそう思う。自分で祝日を作りたい!とふと思ったから、ちょっと妄想してみる。自分で祝日を作るならいつがいいだろう。

 

案1 雨の日

その名も雨の日。名前から連想されるように6月の祝日だ。6月には祝日がないので1日ぐらい祝日がほしいところ。

 

案2 大正の日

明治天皇の誕生日は文化の日昭和天皇の誕生日は昭和の日となっているが、大正天皇の誕生日8/31は祝日になっていない。まあ、休みになっても8/31は微妙な日だな。学生なら、夏休みが終わった直後ぐらいだし。

 

案3 ハロウィン

最近定番行事として定着してきた感があるハロウィン。夜中にどんちゃん騒ぎをするのでいっそのこと祝日にしてしまえば。

 

案4 節分

日本の伝統行事で祝日じゃないのがあった。節分だ。最近恵方巻問題で話題になっているタイムリーな日。みんな会社を休んでLet’s豆まき。

 

案5 クリスマス

年間行事の一つとして完全に定着しているので、祝日にしてもいいんじゃないかな。休みにしたら、経済効果が大きそうだと思っている。宗教的な理由で無理かもしれないけど。

 

案6 シン・体育の日

シンゴジラみたいなノリだけれど、2020年の東京オリンピックの開会式の日を新しい祝日にするのはどうだろう?体育の日も元々は東京オリンピックの開幕した日だったから。

 

案7 自由の日

祝日自体を自由にするという斜め上の発想。国民一人ひとりが自由に設定できる休日。有休みたいなものだな。個人的にはこれが一番うれしい。

 

 

ただただ新しい祝日を妄想しただけの記事。ああ、休みがほしい。

乃木坂46・齋藤飛鳥が文学女子すぎる件

乃木坂46に理想の文学女子がいた

大学生になったら、美しい文学女子とお近づきになりたい...これは全国の文学男子なら一度は思い描く妄想だろう。何を隠そう僕もその文学男子の一人なのである。僕は安部公房を嗜む文学女子を探していた。安部公房の作品をめぐる教養溢れる会話、知的な古本屋デート、僕はまだ見ぬ文学女子に期待を抱いていた。しかし、そんな理想の文学女子は大学には存在しなかった。

「今の大学生は本をあんまり読まない。もっと本好きが集まる場所に行こう」と僕はかなり大規模な書店でアルバイトを始めた。「こんなに大きな書店なら安部公房を嗜む文学女子とお近づきになれる」そんな確信を感じてアルバイトに励んだのだが、いっこうに文学女子が現れる気配がない。バイト先の可愛い同期に好きな作家は何と聞いたら、「私、本読まないの」と言った。絶望だった。

もう何処に行っても文学女子には出会えないのではないか。ましてや、安部公房が好きな文学女子は絶滅危惧種か、あるはすでに死に絶えてしまったのかもしれない。文学女子なんて小説の紙面上にしか存在しないのではないかと考えていた矢先、ついに出会ってしまった、文学女子に。しかも安部公房を嗜む文学女子に。実際に会ったわけではないけど。そう、その文学女子が乃木坂46・齋藤飛鳥だった。

 

 

齋藤飛鳥の読む本が渋すぎて乃木坂にはまる僕。

otocoto.jp

きっかけは乃木坂46に、安部公房が好きなメンバーいるというネットの記事を見たことだ。アイドル系に疎い僕は乃木坂のことがよく分かっていなかった。「齋藤飛鳥ってどんな人だろ」と調べてみると、とにかく読む本が渋い。好きな作家は貫井徳郎と安部公房。もうこれだけで好感度が5万ぐらい上がっている。しかも『砂の女』が好きときている。さらに好感度が5000億上乗せである。安部公房が好きな女子って存在するんだと、文学女子への希望を諦めていた僕はちょっと感動してしまった。しかも、凄く凄く可愛いし、顔がとにかく小さい。これこそ理想の文学女子。森見登美彦風に言えば黒髪の乙女。

 

読み終わった後にモヤモヤしたりとか、結末に納得いかない感じの作品がすごい好きなんです。だって、現実ってスッキリすることがあんまりないなと思っているから(笑)。

 

インタビューのこの感じといい、ダークなところもすごく良いので好感度がさらに5兆アップである。

興味が湧いたのでどんな本を読むのか調べてみたら、なかなか文学寄りの本を読んでいてさらに好感度が100万ほど上がった。

僕が調べたところによると、遠藤周作にカフカ、ゴーゴリ、舞城王太郎、大江健三郎が好きらしい。なかなか通好みの作家だ。セブンルールという密着番組で齋藤飛鳥のテンションが一番上ったのは『石川淳・安部公房・大江健三郎集』をもらった時だったというエピソードもある。安部公房と大江健三郎はかなり渋い。身近に安部公房と大江健三郎を読む女子がいたら確実に惚れてしまう。

日本の作家でいうと戦後の20世紀辺りに活躍した作家が好きなのかな。後藤明生とかの内向の世代の本とかも読んだらはまりそうな感じがする。倉橋由美子とかは、安部公房や大江健三郎が好きな人なら絶対ハマると思う。なので当ブログでは齋藤飛鳥さんに倉橋由美子を勝手にオススメしていきたい。

 

 

写真集のタイトルが『潮騒』

齋藤飛鳥ファースト写真集 潮騒

齋藤飛鳥ファースト写真集 潮騒

 

  写真集も出ていることを知って、早速アマゾンで調べてみたら、写真集のタイトルに驚愕した。

 

『潮騒』!潮騒!!

 

文学好きならもちろん分かるであろう三島由紀夫の代表作だ。これは購入不可避。

 

うーん、つけた理由とかは私はわからないんですよ、まったく。全然関係ないと思うんですけど、三島由紀夫さんの「潮騒」という小説が好きです。タイトルをファンの方が握手会で「潮騒(しおさい)って読めない。どう読むの」と言われて。日本が心配です。 

 うん毒舌だ。

【あしゅ無双】乃木坂46齋藤飛鳥、ファンが『潮騒』読めず「日本の将来が心配です」

 

インタビューによると三島由紀夫の潮騒も読んでいるようだ。文豪の守備範囲が広い。あと毒舌なところもいい。というわけですっかり齋藤飛鳥のファンになってしまいました。これからの齋藤飛鳥さんの読書遍歴が気になるところ。応援しています!

 


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ウディ・アレン監督『Wonder Wheel』の公開が待ち遠しい

ウディ・アレン監督の新作『Wonder Wheel』

natalie.mu

『カフェ・ソサエティ』に続くウディ・アレン監督の『Wonder Wheel』が楽しみだ。ストーリーは1950年代のコニーアイランドを舞台に繰り広げられる人間ドラマであるらしい。一年に一回のペースでウディ・アレン監督の新作を観るのが慣習になってきてる。過去の作品も大体観てしまったし、はやく新作が観たい。アメリカでは2017年12月1日に公開しているので、日本でも来年中には公開されるだろうな。ここ最近春ぐらいにウディ・アレン監督作品が公開されているので(カフェ・ソサエティ、教授のおかしな妄想殺人)、来年も春先に公開されるのだろうか。予告編を観て待機!(英語は分からないけれど)。

 

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